UNLIMITED QUARTZ SHINSAIBASHIのオープンに合わせて制作された、QUARTZ限定のバックパック。
その特徴のひとつが、本体に施されたレザーメッシュです。
細く裁断した革を、地革に一目ずつ差し込んでいく。
立体的で奥行きのある表情は、機械ではなく、人の手によって生まれています。
今回そのレザーメッシュを手がけた職人・布瀬川さんを訪ね、浅草の工房、株式会社CAVALLOで製作の背景について伺いました。
52年続いてきた、革と向き合う仕事
—工房の歴史は、どれくらいになるのでしょうか。
—布瀬川さん:
うちの歴史は52年です。長年にわたり革製品の加工に携わってきました。
この工房には、今ではほとんど見ることのできない古い機械が並びます。
—工房にある機械も、かなり珍しいものなんでしょうか。
—布瀬川さん:
これを持っているところは、もうほとんどないと思います。うちにある機械も、40年、50年くらい前のものです。
単に古い機械が残っているだけではありません。
それを今も動かし、使いこなす技術があること。そこに、この工房ならではの強みがあります。
これだけの機械設備を持っていて、サンプルが次の日にできるようなところは、多分国内でもほとんどないと思います。基本的には全部自社でやるという考え方をしています。
最初から、編むつもりはなかった
長く革に関わってきた布瀬川さんですが、最初からこのレザーメッシュを自分の手で編んでいたわけではありません。
—この編みの技術も、最初からご自身でされていたのでしょうか。
—布瀬川さん:
はなっから、俺なんか編むつもりなんかなかったんですよ。
かつて、編みの工程は外部の内職に任せることが多かったです。
時間もかかり、工賃としても簡単には合わない作業。
だからこそ、自分で編むという選択肢は、最初から考えていませんでした。
しかし、自分で手を動かすようになったことで、見えてくるものがありました。
自分で編むようになって初めて、『こんなに大変なのか』『こんなにやって、この工賃なのか』とわかりました。
編む人の負担。
道具の使いづらさ。
革が伸びる感覚。
メッシュが縮んでしまう理由。
それらは、実際に自分でやってみなければわからないことでした。
—自分で編むようになってから、変わったことはありますか。
—布瀬川さん:
自分で編むようになって、自分で色々工夫して、今があるんですよ。
例えば、編みに使う道具。
工房で使われていた細い棒状の道具は、市販品ではありません。
昔は傘の骨を使っていたこともあったそうです。
現在は、自転車のスポークやバーベキュー用の串など、さまざまなものを試しながら、使いやすい形へ加工しています。
「自転車のスポークを平らに叩いて、ドリルで穴を開けます。そこに革紐を通して、編んでいくんです。結局、道具も自分で作るしかないんですよ。」
自分で編むからこそ、道具の問題に気づく。
道具を変えることで、仕上がりも変わる。
その積み重ねが、現在の技術につながっています。
一目ずつ拾う。だから機械化できない
今回のバックパックに使われているレザーメッシュは、革を細く裁断し、地革に差し込むことで立体的な表情を生み出す技法です。
—技術的なところでいうと、機械化ができない理由はあるのでしょうか。
—布瀬川さん:
結局、1目ずつ拾っていく作業なので、機械化は難しいと思います。何十年もこの仕事をやっていますが、自動でできるようなものではありません。
一気に長く通せばよいわけではなく、革が伸びないように少しずつ進めていく。
10cmほどずつ。細かい部分では2、3cmずつ。
目を拾い、引く。
また目を拾い、引く。
革の場合は伸びてしまうので、力加減が難しいんです。下手な人がやると、編みが縮んでしまいます。
手でなければできない理由は、そこにあります。
目で見て、指先で感じ、力を調整しながら進めていく。
その繰り返しが、均一でありながらも無機質ではない表情を生み出しています。
—今回作っていただいた編み革のバッグで、一番見てほしい部分はありますか。
—布瀬川さん:
特別に『ここを見てほしい』という場所はありません。ただ、僕はメッシュそのものよりも、むしろ作りを見ます。
もちろん、自分たちが手がけたメッシュは最初に目に入る。
それでも、職人が見るのはその先です。
このメッシュをどう使っているのか。どういう作りで、うまく見せているのか。そこを見たいんです。
素材や技法は、それだけで完成するものではありません。
バッグ全体の設計やバランスの中で、どう生かされているのか。
ただメッシュを入れるだけではなく、メーカーさん側でどう工夫しているのか。そこが大事だと思います。
手仕事と、master-pieceのものづくり。
その両方が重なることで、QUARTZ限定バックパックはひとつのプロダクトとして完成しています。
手でなければ、生まれないもの
52年続いてきた工房の歴史。
最初は自分で編むつもりがなかったという職人が、自ら手を動かし、道具を作り、工夫を重ねてきた時間。
その積み重ねが、今回のQUARTZ限定バックパックの表情を支えています。
効率や大量生産だけでは生まれないものがあります。
一目ずつ拾い、革の状態を見ながら、時間をかけて仕上げていく。
手でなければ、生まれない表情。
時間をかけたものだけが持つ存在感。
ぜひ、その細部に宿る手仕事の痕跡を、店頭でお確かめください。
Information
master-piece UNLIMITED QUARTZ SHINSAIBASHI
〒542-0081
大阪市中央区南船場3-12-14 クオーツ心斎橋 4F 412
TEL:06-6575-7669
営業時間:10:00–20:00
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