FROM MSPC Team

足して二で割る : 2025.12.08

皆様、こんにちは永田です。

だんだんと寒くなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は、すでにリリースしている2025年2026年秋冬コレクションの新作 “Swing” シリーズをご紹介させていただきます。

少し前まではバックパック一辺倒だったのが、街では様々なバッグを見かけます。

master-pieceと言えば「バックパックのイメージ」という方が多いのですが、最近では特にカジュアルシリーズにおいては、ショルダーやスリングバッグも人気で様々なアイテムをリリースしています。

職業柄、普段からどんなバッグをどんな人が、どんな使い方(持ち方)しているのをよく観察しています。
当たり前なんですが、平日と休日、旅行や買い物など、いつ何をするかで使うモノや使い方は変わります。
今回はこのような使うシチュエーションではなく、違ったアプローチでアイテムを考えたら面白いモノになるのではと仮定し企画を始めました。

 


プレゼントとして選びやすいバッグ


まずはこれまでの経験上、自分では買わないけど貰ったら嬉しいモノがあって、例えば少し高級な爪切りやハイテクインナー、帽子やバンダナや手ぬぐいなどの小物類、バッグなんかも嬉しいのですが、流石にバッグを生業にしている私にバッグをプレゼントしてくれる人はいません。

そこでもらえると嬉しいバッグ、プレゼントする側も選びやすいアイテムとはどんなモノかと思考していきました。
それはいつもとは違う作業で、ディテールや素材、フォルムやシルエットを考えるのではなく、どんなモノがプレゼントする、される双方にとって良いかということを箇条書きしました。なお相手に相談しない状態でプレゼントする想定で、完全に私感です。

【A.プレゼントされる側】
1.普段使うものはこだわりがあって、自分では買わないけど貰ったら嬉しいモノ
2.自分では選ばない色や形のモノ
3.貰っても使えるモノ
4.使わない時でも嵩張らないモノ
5.もらったからと言っていつも使わなくてもいいモノ
6.あると便利なモノ
7.気兼ねなく使える素材のモノ
8.高過ぎず安過ぎない価格のモノ
9.モノ自体にウンチクがあり、それなりに語れるモノ
10.できれば一生使えるモノ etc.

【B.プレゼントする側】
1.持ってそうで持ってなさそうなモノ
2.相手に合わせた色や逆に使って欲しいカラーがあるモノ
3.見た目だけでなく使える機能性のモノ
4.使わない時に邪魔にならないモノ
5.普段使わなくても使う場面で使って欲しい
6.使うシチュエーションが想像できるモノ
7.お手入れや取り扱いが難しくないモノ
8.高過ぎず安過ぎない価格のモノ
9.モノ自体にウンチクがあり、それなりに語れるモノ
10.できれば一生使えるモノ etc.

上記の他にも言語化しずらい感覚的なことも含めて考えました。
AとBで若干違うニュアンスもありますが、仕事や普段使いするモノはある程度、相手に合わせた好みのデザインや
機能性、容量など合わせる必要があり、シークレットでプレゼントする側にとってリスクがあるように思います。
ここがピタッと合えば、最高のプレゼントになりますが、なかなか難しいのかなと思います。

そこで仕事や通学などの用途使いではなく、荷物の少ない時やお休みのお出掛け時に気軽に使えるモノ。しかも保管時にかさばらないモノとなると小さなバッグが適しているのではと考えました。

そこから持つもの(収納するもの)を考え、財布、スマートホン、ワイヤレスヘッドホン、
家の鍵や車の鍵。その他、身だしなみ用品等が入るサイズ感のモノと作りたいサイズが決まりました。

プレゼントとして選びやすいバッグを

以前、普段はサコッシュで荷物が増えた時に底のマチを広げて使えるBitというシリーズをリリースしましたが、素材やデザイン的にも今回のテーマでは少しカジュアル過ぎるのでプレゼントとして使う人を選んでしまいます。

できればレザーを使いたいでもコスト的にも高過ぎず、あまりお手入れも気にせずに使え、しかも防水機能があるモノ。
そんなレザーはやはり別注するしかないので、使える原皮やシュリンク型の型押しなどリクエスト。カラー展開も多い方がいいのと発色性やスムースとシュリンク型の2種類のレザーを使い分けたり、同色ながら少しツヤ感を変えたりとウチらしさも表現したい。

結果2種類のレザーは原皮やカラーを統一し、仕上げを変えることでロット面やコストを抑えることできました。
本当にいつもと違うアイデアでアウトラインが決まっていきます。

“いいとこ取り”のデザイン

形的には小さめのショルダーバッグがいいのかなと想像しており、前からサコッシュとウエストバッグの良いところ取りをしたようなデザインができないかなと考えていました。
サコッシュのように手軽に使え、ウエストバッグのような立体感がありながら、それなりの
収納力も備えたモノにしたいので、デザインのベースはウエストバッグでマチやシルエットを調整しながら、今のフォルムになりました。
ちょうどウエストバッグを斜めに持つのではなく、ウエストバッグのようなデザインで斜めがけ専用、短めに持っても身体に沿うような立体的なパターンで本体マチも薄めのシルエットにしました。
たまにしか使わないけど、あったら絶対に使う便利なサイズ感と使用感に仕上げました。

抜かりない機能性、こだわりの部品選定

収納面においては、メインにYKK社製 シンメトリックファスナーを採用。エレメント(務歯)を対称形状にすることで、スライダー2個付での操作性を向上させたメタルファスナーです。
スライダーにはループ状のレザー引き手を付けて手袋を着用した状態でも開閉を容易にしています。

内装には、オープンポケットと軽く柔軟性のあるコイルファスナーポケットの二重ポケットがついており、出し入れを頻繁に行うものはオープンポケット、
貴重品や細々したものを収納するにはファスナーポケットが便利です。また右隅にはキーフックも装備。ばらつきやすい鍵の指定席も用意しました。


前胴はYKK社製 AquaGuard®ファスナーでテープの表面をポリウレタンフィルムでラミネートし、止水性を持たせる処理を施したファスナーで、内装側に少しゆとりを持たせているので、ワイヤレスイヤホンやスマートキーなどの小物の収納に最適となっています。
このように使う箇所によってあえて3種類のファスナーを使い分けをしています。

背胴には使いやすさとコストを考えてオープンポケットにしました。背胴全面が収納スペースになっているので、ポケット口より入りさえすれば、それなりの収納力があります。特にスマートホンの収納に便利です。

その他のディテールとして、ショルダーテープの脱着と長さの調節をするパーツにはマグネットバックルを使用しています。前後にずらして脱着するので最初はコツがいるかもしれませんが、慣れればワンタッチで脱着が可能です。
特にテープを短めにして身体にフィットさせた状態で使用される方にとっては便利なパーツだと思います。

また両サイドに調節機構があるので、片側にずらして調節することで両肩どちらでも対応しています。
本体を背負って使う場合でいうと肩側のバックル側にテープを最長(一番伸ばした状態)にすることで、テープエンドに付けたDカンがバック上にくるので、その部分にサングラスやキーホルダーなどを取り付けて使うこともできるようになっています。

多様なカラー展開

カラー展開は7色を用意しました。自分では買わないような提案カラーを選んだり、相手に持ってもらいたい希望カラー、絶対使ってくれるであろう定番カラーを選んだり、プレゼントする側にとって腕のみせどころです。
される側にとっても、プレゼントしてもらうことでしか選ばないカラーであっても相手が選んでくれたことを想像してみたり、新しいコーディネートに挑戦できたりもします。

ショルダーベルトについては、すべて高密度に織った肉厚のナイロンテープのブラックを採用し、あまりカジュアルになり過ぎないよう配慮しました。
ブラックカラーのみファスナーやスライダー、引き手がブラックでオールブラックに、それ以外のカラーはアンティークシルバーのメッキの仕様になっています。


バッグひとつ考えるだけでも、結局は使う人にとって、できる限り良いモノをという気持ちは変わらないのですが、今回はプレゼントする側についても考えてみました。
そのコンセプトだけでなく、デザイン等についても「足して2で割った」ような新しいモノができたと思っています。
プレゼントされた方に気に入ってもらえたら嬉しいです。

今シーズンも様々な新作をリリースしましたが、今回はこのように生まれた ”Swingシリーズ” の紹介です。
ぜひ直営店、全国の master-piece取扱店やオンラインストアでチェックしてください。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

永田

▼ Swing シリーズはこちら

Swingはスラングで「自由に楽しむ」、「流行に乗る」などポジティブな意味合いで使われることもあります。