FROM MSPC Team

コラボにまつわるエトセトラ。 : 2022.10.28

こんばんは、master-pieceの福井です。

先週リリースさせていただいたrajabrooke × master-piece。
抜群な具合に仕上がったそのアイテムや世界観はこちらからご覧いただきたいのですが、今回は個人的にも大変思い入れの深いコラボレーションでして、本日はそれに纏わるあれこれについて書きたいと思います。

rajabrookeのデザイナー牛田さんとの出会いは2019年、たしか秋頃だったと思います。
master-pieceの堀江店に併設しているカフェでコーヒーを飲んでいる時に牛田さんが訪れ、挨拶をし軽く話し始めました。
ちょうどその頃近くに事務所を間借りしておられたそうで、よくうちに立ち寄ってコーヒーを飲んでくれていたとの事。
私自身は以前よりrajabrookeの存在を身近な人たちから聞いており、バティック柄や東南アジアの空気感を巧みに落とし込んだかっこいいブランドという認識でinstagramなどでチェックしたりしていました。

いざ話してみると、モノづくりに対するリスペクトや事柄への解釈がとても深く幅広く、自分がinstagramなどで見ていた表面的な部分とはある種対極の魅力を強く感じた事を覚えています。
ファッションの話にとどまらず音楽の話やいま感じていることなど、本当に色々なことを話し、気づけば一時間以上経っていて。
共感する部分も多く、はじめましてとは思えない程濃く楽しい時間でした。
その日から私の中でrajabrookeはかっこいいブランドから好きなブランドになり、日々動向をチェックする事も仕事から楽しみへと変わりました。

それからしばらくしてコロナウイルスが流行し大きく変化した世の中同様、master-pieceも様々な部分で影響を受けました。
お店が営業できない期間や、外出自粛な世の中におけるバッグの存在意義まで考えたりと、自分だけではなくスタッフも皆不安な日々だったと思います。
ただその中でポジティブな事もたくさんあり、私がよくここで書いている“バッグライフ”というキーワードはちょうどその頃に生まれました。

“人がバッグを使用する生活”に視点を広げたモノづくり。元々ブランドに備わっていた感覚ですが、あえて言葉にした事でバッグの尽きない可能性にも気づかされました。
それを象徴するのが昨年の今頃にリリースした城崎温泉とのコラボレーションです。温泉巡りや銭湯に行く際に最適なバッグで、なんと城崎温泉の湯めぐりパスまで付いてくる。バッグを通してファッションや機能だけではなく、行動に対してもアプローチしたmaster-pieceとしても例のないプロジェクトでした。
他にもピップ株式会社と共同開発した、バッグユーザーのため肩こりをケアする磁気マグネットが内蔵されたインナーウェアなど。私自身もプレスとして様々なプロジェクトに携わる中で、業種を超えた取り組みでしか表現出来ない物事を経験することができましたし、ブランドを知ってくれていた方はもちろんこれらをきっかけに知ってくれた方からも多くの反響をいただきました。

他業種の方々との取り組みで改めて感じた事はmaster-pieceのバッグに対する経験値と環境の力です。毎度ながらの手前味噌で恐縮なのですが、1994年のブランド設立時から、時にはファッション性、時には機能性を介して、その時々の日常生活を豊かにするバッグを開発してきた経験と、2008年以降その動きをより加速させ、減少する国内のモノづくりの環境を次世代に継承するため設立された自社工場「BASE」。それらが土台にあったから暗中模索とも言える様々な物事が実現したと。

コロナ以降、そんな色々を感じる事が多かったのですが、いま持っているこの感覚をファッションというカテゴリーに反映させるときっと今までと異なるアプローチができるのではと思いました。
そんな時に牛田さんとの出会いを思い出し、久しぶりに連絡をしたところちょうど機能性に富んだバッグを作りたいと思っておられたそうで、展示会中のお忙しいタイミングにも関わらずコラボレーションを快諾してくれました。

そうして始動した今回のプロジェクトですが、打ち合わせから参加する中、個人的に猛烈にプッシュしたいバッグが2つあるんです。

一つはボストンバッグ。
マレーシアで幼少期を過ごした牛田さんは海外を旅する事も多いらしく、その際使っているのがヴィンテージのボストンバッグとの事。実際に見せてもらったのですがとにかく大きい。幅は70cm程度でしょうか。話していて印象的だったのが「すごく使いにくいんだけど、かっこいいから使っている」という言葉です。個人的には共感しかないキーワードなのですが、機能などは飛び越えてかっこいいから使うモノってありますよね。そのボストンバッグはおそらく70~80年代のモノなのですが、キャンバス生地にレザーのハンドル、収納は一気筒で内にも外にもポケットすらないのです。重いし確かに使いにくそうだけど、クラシックでとにかくかっこいい。


No.608300-rb
59,400yen
W590 H300 D275mm

そのやり取りをベースに、素材や機能を現代にアップデートさせ生まれたのが今回のボストンバッグ。本体素材はCORDURA®のバリスティックナイロンで軽量化と強度を保ち、内装や外装には複数のポケットを設けました。レザーのハンドルやパイピングでクラシカルな雰囲気は残しつつ、防水加工によりさらにタフに。
内装生地やショルダーストラップにはrajabrookeが得意とするバティック柄をあしらった事で唯一無二な雰囲気に仕上がっています。あとは潔いぐらいに大きいサイズ感。これを持っていると旅行か出張でも行くんですか?と思われるでしょうが、自称大きいバッグ愛好家の私としてはぜひ日常で使いたいです。それぐらいかっこいい。


No.608301-rb
17,600yen
W730 H340mm

もう一つは一見風呂敷のように見えるスリングバッグ。rajabrookeのアイテムとしても人気なオリジナルのバティック柄で染め上げられたバンダナや風呂敷。体に巻き付けたり首からぶら下げたりされる事が多いのですが、実はそれがバッグだったら面白いよね、というとんでもない会話から生まれました。バッグのセオリーを完全に無視したところからのスタートでしたが、デザインをいくつも考え自社ファクトリーで試作を重ねることで、かつてない新しいバッグとして完成しました。

他にもトートバッグやサコッシュ、L/STEEなんかもあるのですがそれぞれ異なる素材やデザインでアプローチされており、rajabrookeの価値観とmaster-pieceの技術がうまく交差したなんとも見応えのあるコレクションが完成しました。3年前の自分に、いい出会いをしたね。と言ってあげたいです。

最後にもう一つ、今回のコラボレーションのLOOKはrajabrookeチームがマレーシアで撮影してきてくれたのですが、実は音楽からオリジナルの動画もありまして、これもまぁコラボでしかできない仕上がりになっていますので是非そちらもチェックしていただければと思います。

rajabrooke × master-piece