皆様、こんにちは永田です。
先日、工場に保管しているレザーや在庫商品に、この季節ならではのレザーの自然現象が見られました。
以前、「革らしい革を使いたい」という想いから企画し、ご紹介したレザーですが、改めてその表情を目の当たりにして
「これは知らない方が見たら、きっと驚かれるだろうな」
と感じ、今回あらためて記事にすることにしました。
このレザーは Varyシリーズ をはじめ、現在ではPolletシリーズ、Ark Leatherシリーズ にも使用しています。
「ブルーム」とは?
タイトルにある「ブルーム」という言葉。
ご存知の方もいらっしゃる一方で、「初めて聞いた」という方も多いかと思います。
実際に社内でも、実物を見たスタッフから
「カビですか?」
「購入してすぐこれだと不安になりますね…」
といった声が上がりました。
確かに、何も知らずに見ると驚いてしまう見た目かもしれません。
だからこそ、この「ブルーム」という現象について、きちんと説明する必要があると感じました。
ブルームはカビではありません
ブルームとは、レザー内部に浸透していたオイルやワックスが、気温の変化などによって表面に浮き出てくる現象のことです。
白い粉状に見えるため、一見すると「カビが生えた?」と錯覚してしまいますが、カビではありません。
特に、オイルやワックスを豊富に含んだレザーでは、素材の特性として正常に起こる現象ですので、ご安心ください。
どんなレザーに起こる現象なのか
ブルームは一般的に、ブライドルレザー(馬具用として開発されたレザー)に多く見られる現象として知られています。
ブライドルレザーは、革を保護するためにグリースをしっかりと塗り込むため、その成分が気温の低下などにより凝固し、表面に現れやすくなります。
ただし、ブルームはブライドルレザーだけに起こるものではありません。
今回ご紹介しているような、オイルやワックスを豊富に含んだレザーでも発生します。
なぜ寒い時期に起こるのか
ブルームが発生する主な要因は、気温の低下です。
気温が下がると、レザー内部に含まれているオイルやワックスが表面に浮き出て、白く凝固した状態になります。
また、レザーには個体差があるため、
・出やすいもの / 出にくいもの
・全体にムラ状に出る
・縫製部分やパーツの縁に沿って出る
・キズのような線状に見える
・液体が飛び散ったように見える
など、ブルームの出方は一つとして同じではありません。
これはレザーの製造段階やバッグの生産時には現れにくく、特に
・未使用の状態
・寒い時期に購入された場合
・使用せずに保管している場合
に発生することがほとんどです。
ブルームが出た場合のお手入れ方法
ブルームが発生した場合でも、特別なことをする必要はありません。
おすすめのお手入れ方法
1, 馬毛ブラシで優しくブラッシング
(傷をつけないよう、力を入れずに)
2, 柔らかい布で乾拭き
余分なブルームが馴染み、自然なツヤが出てきます。また、軽くドライヤーで温めたり暖かい場所に置くことで、凝固した油分が溶け、元の状態に戻ることもあります。
繰り返しお手入れすることで、レザーは少しずつ深みのある表情へと変化していきます。
レザーが「生きている」証のような現象
ブルームは、寒い時期にだけ見られる少し特別な現象です。
まるでレザーが呼吸しているかのように、
環境に反応して表情を変える。
そんな 「素材の生きた証」 のようにも感じられます。
この現象を知っているだけで、モノの見え方や、モノへの愛着はきっと変わってくるはずです。
ブルーム現象も含め、レザーは使い方やお手入れによって、その人ならではの表情へと育っていく素材です。
ぜひ、経年変化も含めて、長く楽しんでいただけたら幸いです。